ITテクノロジーの発展にともない、テレワークやモバイルワーク、サテライトオフィスなどの普及が進み、拠点に縛られない働き方が実現しつつあります。 拠点の分散によって生じた電話によるコミュニケーションの課題をクリアするために、クラウドPBXの導入を検討している企業も多いでしょう。 ただ、クラウドPBXにも欠点があり、うまく活用する方法を理解しておく必要があります。そこで今回は、クラウドPBXのデメリットについて対策を解説します。 クラウドPBXのセキュリティリスクについても触れているので、併せて参考にしてみてください。
クラウドPBXは、場所を問わず会社の代表番号で発着信できるインターネットサービスです。
メリットとしては、スマートフォンをビジネスフォンとして利用できるので、外出先やリモートワークなどの様々な環境でもオフィスと同じように通話業務が行えます。
また、PBXをインターネット経由で利用できるため、ハードウェアを導入する必要がありません。
ただ、便利な一方でデメリットはないのか、気になっている方も多いでしょう。早速、クラウドPBXのデメリットについて解説していきます。
クラウドPBXはインターネット回線を活用するサービスのため、回線の混雑時には通話品質が低下することがあります。
もちろんクラウドPBXのサービスによっても通話品質は変わります。インターネット環境には問題がなくても音声が聞こえにくかったり遅延したりするケースは少なくありません。
ビジネスでは些細な伝達ミスによって業務に支障が出てしまうことがあります。クラウドPBXを導入するときは通話品質までしっかり確認する必要があります。
クラウド環境で提供されるフリーメールを利用したことがある方は、クラウドPBXも無料で使えるのではないかと思ってしまうかもしれません。
一般的に、クラウドPBXを利用するときは月額料金が発生します。月額数千円で利用できるサービスもありますが、内線の数が多くなると月額数万円程度のコストが発生するサービスもあります。
また、自動録音や電話会議、出張作業などに関して、オプションで料金がかかるケースも少なくありません。
そのほか、必要以上にスペックを上げると費用が高額になってしまう場合があります。
クラウドPBXでは、サービス提供元が工事時間帯を定めていることがあり、指定された時間に利用できない場合があります。
また、サービス提供元の設備が故障したときにも利用できなくなるリスクがあります。
通信環境がサービス提供元に依存してしまう点については目をつむる必要があるでしょう。
110(警察)や119(消防・救急)など一部の電話番号に発信できないクラウドPBXのサービスもあります。 緊急通報をする場合は発信位置の共有が不可欠ですが、クラウドPBXはインターネット回線を利用しているため位置情報を取得できず、緊急通報ができません。そのため、災害や事故の際はクラウドPBXではなく、電話回線で発信する必要があります。 サービス提供元のホームページに接続できない電話番号が掲載されていますので、導入前に必ず確認しておきましょう。
【発信できない電話番号の例】
警察や消防・救急以外にも発信できない電話番号の例を挙げてみました。
電話番号 | 内容 |
---|---|
118 | 海上事件・事故の通報 |
177 | 天気予報 |
117 | 時報 |
115 | 電報の申し込み |
113 | 設定やトラブルのサポート |
144 | 迷惑電話おことわりサービス |
0570 | ナビダイヤル |
一般的にオフィスではビジネスフォンを利用するので紛失の心配はありませんが、クラウドPBXではスマートフォンでも利用できるため、端末を紛失してしまった場合には対処が必要になります。
具体的には、紛失したスマートフォンのアカウント停止、パスワードの変更、新しい端末へのアプリの再インストールなどが必要です。
従来のオンプレミス型PBXは、停電時でも電話回線が利用でき、停電機能付きビジネスフォンであれば通話環境を維持できました。 その点、クラウドPBXはインターネット環境を前提とした通話サービスのため、社内のインターネット機器が停電で停止すると利用できなくなってしまいます。そのため、災害によりクラウドPBXが利用できなくなる事態にも備えが必要でしょう。 なお、クラウドPBXをスマートフォンで利用している場合は、モバイルデータ通信によって通信環境を維持できます。
クラウドPBXのデメリットは、適切な対策を講じることで軽減できます。ここからはクラウドPBXのデメリットについて対策方法を解説します。
インターネット回線の混雑によって通話品質が低下してしまう場合、より安定したインターネット環境の構築を検討します。 インターネット通信機器が電磁波の影響を受けることで通話品質が低下するケースもあります。インターネット通信機器の近くには電子レンジのような電磁波を発生させるものを置かないようにしましょう。 そのほか、ファイルのダウンロードやソフトウェアのアップデートを行っているときに通話品質が低下する場合もあります。データの送受信が完了した後に通話をするのも一つの対策です。
クラウドPBXの利用料金は一律ではなく、サービスごとに料金体系が細かく確立されています。費用を重視している場合は、会社に必要な電話番号の数(回線数)などを確認して、サービスの導入費用と月額費用を比較検討しましょう。 たとえば大人数で使用する場合、内線数が多くなるほど割引率が高まるサービスや、定められた利用人数を超えた分の基本料金が無料になるサービスもあります。社員数が多い企業であれば、費用対効果は高まるでしょう。 そのほか、キャンペーン期間に申し込むことで、初期費用が無料になるサービスも見受けられます。お得にクラウドPBXを導入できるよう、キャンペーン情報を見落とさないようにしましょう。
クラウドPBXの導入時は、利用できない時間帯を事前に社内に周知しておくことが大切です。 また、故障によって通話に不具合が発生したときはサービス提供元に連絡をする必要があります。 サービスの内容によって問い合わせの受付時間は異なり、24時間365日にわたって対応しているケースもあれば、早朝や深夜には対応していないケースもあります。 万が一のときに慌てないように故障時の受付時間も把握しておきましょう。
スマートフォンで電波がある状態であれば、電話回線で緊急通報を行うことができます。 もしクラウドPBXで緊急ダイヤルを利用したい場合は、光電話に対応したサービスを選択しましょう。 IP電話を使ってクラウドPBXを導入する場合は、万が一のトラブルに備えて緊急通報を行えるように対策を講じる必要があります。 たとえば「緊急通報ナビ」が有名ですが、緊急通報が行えるスマホアプリがあります。同アプリを利用すればIP電話でも最寄りの警察署に直接電話をかけられますし、現在地の住所を取得する機能があるので位置情報をスムーズに伝えられます。
スマホの紛失を防ぐ対策としては、スマートタグの導入をおすすめしています。Bluetoothの接続可能距離を超えてペアリングが解除されたとき、ブザーやプッシュ通知で知らせてくれます。GPSに対応したモデルであれば、紛失した位置も確認できます。
災害による停電などの緊急時こそ、顧客からの問い合わせ対応やスタッフの安否確認など、確実に通話できる環境を維持する必要があります。 停電時にもクラウドPBXを利用できるようにする対策としては、蓄積した電気エネルギーによって主要設備に電力を供給する無停電電源装置(UPS)が有効です。
クラウドPBXの利用において見過ごせない点がセキュリティリスクです。導入後にトラブルが起きて後悔しないよう、事前にリスクを想定しておきましょう。
クラウドPBXの中には、通話録音の再生や通話履歴の検索、電話帳などの情報を管理することができるものもあります。 もしクラウドPBXのアカウントに不正ログインされて悪用されると、不正利用されかねません。 仮に自社の独自技術が流出してしまえば、競合にノウハウを利用されて事業の展開が不利になってしまうでしょう。顧客情報を漏えいさせてしまえば、企業としての信頼が失われるだけでなく、顧客から慰謝料を請求されるケースもあり得ます。
クラウドPBXには通話内容を盗聴されてしまうリスクも考えなければなりません。 クラウドPBXを利用するときは、いつでも安心して通話に集中できるセキュリティ環境を整備する必要があります。
サイバー攻撃とは、ネットワークやコンピューターに侵入してデータの詐取・改ざん・破壊を行ったり、システムの機能を停止させたりする犯罪です。 クラウドPBXを侵入経路としてサイバー攻撃が行われるリスクもゼロではありません。コンピューターウイルスに感染してしまえば、金銭を要求されたり情報を流出させられたりする恐れがあります。 対処に時間がかかり、社内の業務が滞ってしまうこともあるでしょう。
クラウドPBXを利用するときには、さまざまなセキュリティリスクがあると、おわかりいただけたでしょう。クラウドPBXを導入するときには、通話品質やコスト、サポート体制だけでなく、セキュリティ機能にも目を向ける必要があります。 ここからはクラウドPBXを導入するときのセキュリティ対策について解説します。安全なクラウドPBXを選ぶための基準として参考にしてください。
クラウドPBXでは、通話データや電話帳がクラウド上に保存されるため、第三者が管理画面から不正にアクセスできないようにする機能が必要になります。 たとえば、ログインに2段階認証の機能があると安心です。 中には、Web管理画面にアクセスできるIPアドレスを制限したり、ユーザーごとにログインできる曜日と時間を制限したりする機能があります。 アクセス制限の機能が多いほど、セキュリティが強固になります。クラウドPBXを選ぶときは、アクセス制限の機能を見落とさずにチェックしましょう。
クラウドPBXでは、音声の暗号化によってセキュリティを強化できるサービスを提供している場合もあります。 通話中の音声を暗号化することで第三者による盗聴のリスクを軽減できます。 通話で重要な情報をやり取りする頻度が高い場合は、音声の暗号化サービスを導入してみましょう。
クラウドPBXのシステムはネットワーク上に構築されているので、セキュリティ管理はサービスの運営元に委ねることになります。 したがって、セキュリティ対策に強みを持ったサービスを選ぶことが重要です。信頼できるサービスを見極めるには、情報セキュリティ基本方針の内容が参考になります。 サービス運営会社のセキュリティ防止策や事故への見解を確認することができます。 そのほか、サービスの導入実績や口コミなども、信頼度を把握するための指標にしてみましょう。
クラウドPBXを導入するときには、デメリットになり得る注意点も知っておく必要があります。クラウドPBXに関する注意点について解説していきます。
クラウドPBXのサービスでスマートフォンやパソコンを利用するときは、運営元が動作保証している端末と専用アプリをインストールできる環境が不可欠です。 動作保証がされていない端末に関する問い合わせは受け付けてもらえないケースがあるので注意してください。 最新の対応端末は運営元がリストアップしているので、導入前に見落としなくチェックしておきましょう。
クラウドPBXには、国内にある会社しか契約できないサービスがあります。その場合、海外を拠点とする企業は契約できません。 また、一時的な海外出張などでサービスを利用する場合、各国の法令によってはアプリを持ち込めない場合があります。
一般的に企業の電話番号は、オフィスの所在地域に割り当てられた市外局番が使われます。 IP電話でクラウドPBXを利用する場合、03や06などの市外局番を継続して使用できません。 新たに050といった番号を取得する必要があります。
クラウドPBXは多くの企業から提供されており、どれを選べばよいか迷ってしまっている方も多いでしょう。ここからはデメリットの少ないおすすめのクラウドPBXをご紹介していきます。
おすすめはクラウドPBX SPICA(スピカ)です。クラウドPBX SPICAは、スマートフォンで使えるテレワーク向けのクラウドPBXサービスです。
クラウドPBX SPICAは、総務省の通話品質基準「R値」「MOS値」「遅延値」に関して、最高品質基準のクラスAを獲得しています。 クラウドPBXの導入にあたって、通話環境を重視する方に特におすすめです。
クラウドPBX SPICAは、コストを大幅に削減しつつ通話環境を改善できます。 PBXやビジネスフォンがなくても導入できるため、設備投資を抑えられます。オフィスのレイアウト変更や配線工事も不要なので工事費用も節約できます。 さらにスマホ3台までなら初期費用と利用料金が永続的に無料で、基本料金だけで利用できます。スタート段階で社員の人数が少ない企業にはピッタリでしょう。
クラウドPBX SPICAでは、プロのコンシェルジュがサービスの導入からアフターフォローまでフルサポートしています。 電話番号やネット回線の手配、工事までを迅速に対応しているのはもちろん、サービスを利用開始してからも快適に利用できるようにきめ細やかに対応しています。 サービスに対してデメリットは感じづらいでしょう。
クラウドPBX SPICAでは、事前にお試しができる無料デモのご提供を実施しています。 内線・外線の通話品質やアプリの使い心地などについて、現在ご利用中のスマートフォンでお試しいただけます。無料デモのお申し込みは、問い合わせフォームと電話で受け付けています。ぜひ一度お問い合わせください。 無料デモのお問い合わせフォームはこちら
以上、クラウドPBXのデメリット対策について解説しました。 クラウドPBXには、通話品質やランニングコストに関するデメリット、不正アクセスや盗聴などのセキュリティリスクがあり、個別に対策が必要だとおわかりいただけたでしょう。 また、動作確認済みの端末で導入する必要があることや、国内でしか利用できないなど、細かい注意点もありました。 クラウドPBXの導入を成功させるためには、サービスのメリットだけに目を奪われないことが大切です。