このサイトをご覧になっている方は、オフィスの電話にクラウドPBXの導入を検討されていることと思います。ただ、導入を検討している企業の担当者の方でも、「クラウドPBXとは何か」について、漠然とイメージは持っているものの、詳細については理解されていない方も多いことでしょう。
クラウドPBXに対しては、多くの質問をお持ちだと思います。質問内容も、従来のビジネスフォンとの違いや、クラウドPBXの機能、インターネット電話のIP-PBXとの機能の違いなど多岐にわたるのではないでしょうか。そこで、クラウドPBXをもっと知るために聞きたい8つの質問について、「クラウドPBX SPICA」の担当者に答えてもらいました。
大企業から中小企業まで、クラウドPBXに注目している企業が増えています。クラウドPBXは従来のビジネスフォンに代わる新しい電話サービスです。ただ、具体的なサービスの内容については、曖昧なイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
クラウドPBXのことを、スマートフォンを会社の電話として使用できるサービスの総称だと思っている方もいれば、インターネット電話サービスのIP電話のことだと思っている方もいるかもしれません。まずはクラウドPBXの定義から聞いてみましょう。
クラウドPBXをごく簡単に説明すると、どのようなサービスといえるのでしょうか。
「スマートフォンで会社の固定電話の番号を発着信できるサービスです。スマートフォンにアプリをダウンロードすることで、自宅や外出先など、オフィスにいなくても会社の番号で通話ができます。
具体的な機能としては、スマートフォンから会社の番号で発信する、会社からスマートフォンと内線通話をする、外線電話をスマートフォンに転送することなどが可能で、ビジネスフォンと同じように使えます。PCにソフトウェアをダウンロードすることで、パソコンからも通話が可能です」
ということは、オフィスに電話機は必要ないのでしょうか。
「電話機はもちろん、電話回線も不要になります。PBXとは、電話交換機のことです。PBXをインターネットのクラウド上に、ソフトウェアとして設定することで、ビジネスフォンとして機能する電話システムがクラウドPBXです」
これまでのオフィスでは、外線と内線の機能を持ったビジネスフォンを固定電話機として導入するのが一般的でした。クラウドPBXのサービスが登場した背景には、スマートフォンの普及があります。
日本で初めてiPhoneが発売されたのは2008年でした。スマートフォンの普及が本格的に始まったのは2010年以降で、総務省によると、2020年時点のスマートフォンの世帯所有率は8割を超えています。
所有率が伸びるにしたがって、個人が所有する、もしくは会社から貸与されたスマートフォンを内線として使いたいというニーズが出てきました。それだけではなく、ビジネスフォンが持つ便利な機能を備えたのがクラウドPBXです。
ここ数年でクラウドPBXについての問い合わせが増えたといいます。背景にあるのは、働き方の変化です。
「働き方改革関連法が2018年に成立し、在宅勤務を取り入れる企業が少しずつ出てきた頃から、クラウドPBXが注目され始めました。それが、2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大によって、問い合わせが急増しました。
特に緊急事態宣言が出た期間は、オフィスへの出勤を抑えざるを得なくなったことで、クラウドPBXへの関心がより高まったと考えられます」
では、企業が実際にクラウドPBXを導入するのは、どのようなタイミングが多いのでしょうか。
「最も多いのは、テレワークやリモートワークなどの在宅勤務を導入するタイミングです。オフィスの外にいるときに会社の番号で発着信したいニーズに応えているのが、クラウドPBXのサービスです。
次に多いのは、新規に会社を設立する場合に、最初からクラウドPBXを導入するケースです。ビジネスフォンを導入すると初期コストがかかってしまいますので、初期費用を抑えることを期待して導入する企業は多いです。またシェアオフィスなどで会社を立ち上げる際にも、クラウドPBXが選ばれるケースは多いですね」
クラウドPBXは用途や機能から見ても、従来のビジネスフォンに代わる電話システムといえます。クラウドPBXの機能を整理すると次のようになります。
・オフィス以外の場所にいても、会社の番号で電話を発着信できる
・スマートフォンでの発着信や内線の振り分けも可能
・オフィスに電話機や電話線が不要
ビジネスフォンの場合は、PBXと専用の固定電話機、それに電話線などが必要です。複数の拠点がある場合には、拠点ごとにPBXを置く必要があるほか、新規に電話回線を引く場合は工事費用もかかります。これらのコストがかからないのは、クラウドPBXの大きなメリットです。
一方で、クラウドPBXとよく似たサービスに、IP-PBXがあります。IP-PBXは、インターネット電話のIP電話機で、従来のビジネスフォンと同じ機能を実現するものです。クラウドPBXとの違いはどこにあるのでしょうか。
「クラウドPBXがソフトウェアで完結するサービスなのに対して、IP-PBXではハードウェアも必要になります。ゲートウェイと呼ばれるPBXのシステムをオフィスに置きます。使い方はクラウドPBXと同じですが、機能などに異なる点もあります」
では、クラウドPBXとIP-PBXはどのように使い分ければいいのでしょうか。まず、IP-PBXを使う場合のメリットを聞きました。
「クラウドPBXもIP-PBXも、月額の料金は利用するスマートフォンやPCなどの台数によって変わります。
20台くらいの場合はクラウドPBXの方が月額料金を抑えることができますが、30台を超えてくるとIP-PBXの方が安くなる場合があります。各事業者によって若干異なりますが、一般的には大人数で使うときには、IP-PBXの方がコスト面でメリットがありますね」
IP-PBXならではの特長もあります。それは機能の豊富さです。
「IP-PBXは機能が充実しています。留守番電話の応対メッセージを自由に編集できるほか、時間によって異なるメッセージを流すこともできます。
また、コールセンターなどに電話すると、『ご用件のある方は1を押してください』といったガイダンスが流れることがありますよね。これをIVR機能といいます。
IVR機能はクラウドPBXではオプションで用意していますが、IP-PBXには最初から使える機能として用意されています。オリジナルのアナウンスを流す、時間によってアナウンス内容を変えるなど、細かい設定ができるのがIP-PBXの特長ですね」
次に、クラウドPBXの特長をみていきましょう。
クラウドPBXに必要な設備は、クラウド上に設定したPBXシステムと、スマートフォンやパソコン、それにインターネット環境と電話番号のみです。これまで触れてきたとおり、電話機をはじめとするハードは一切必要なく、電話線の配線もありません。
従業員が数名だけで、日中は全員が外出しているような企業から、従業員が1000人を超えるような大企業、さらには世界中に拠点を構えるグローバル企業も、クラウドPBXであれば簡単にシステムを構築できます。
社員は取引先から会社の番号宛てにかかってきた電話を、携帯しているスマートフォンで直接受けることができます。また、本社の代表電話番号を全国の拠点で発着信することも可能です。
スマートフォンの場合は、専用のアプリをダウンロードします。アプリによってさまざまな機能を使うことができます。PCの場合は専用のソフトをインストールして使います。スマートフォンやPCが、場所を問わずにビジネスフォン端末として利用できます。
注意が必要な点は、現在使用している電話番号がそのまま使えるケースと、使えないケースがあることです。クラウドPBXの事業者によって、対応している電話会社が異なります。この点については、最初に確認が必要です。
「クラウドPBX SPICA」の場合は、NTTの03や06から始まる電話番号と、楽天の050から始まる電話番号をそのまま引き継ぐことができます。ソフトバンク、KDDI、NTTコミュニケーションズの回線の場合は、IP-PBXで同じ番号での利用が可能です。
クラウドPBXを導入することで、初期費用がビジネスフォンより少なくて済むこと以外にも、コストメリットが出るケースがあります。
ひとつは、利用するスマートフォンなどの台数が20台前後くらいまでの場合です。一般的な事業者の場合、毎月の料金は、基本料金と1台あたりの料金によって決まります。利用する台数が少ない場合はIP-PBXよりも月額のコストを抑えることができます。
その一方で、利用する台数が多くても、クラウドPBXの方がIP-PBXよりもコストがかからないケースもあります。それは展開する店舗数などが多い場合や、全国に多数の拠点などを持つ場合です。実際に規模の大きな企業がクラウドPBXを導入するケースは多いといいます。
「店舗や拠点が多い企業からは、クラウドPBXを利用したいというニーズが高いです。クラウドですので、各店舗に電話設備を置く必要がないことが最も大きなメリットです。
また、導入の手軽さもメリットといえます。店舗や拠点を増やす、もしくは減らすときにも、設定を変えるだけなので手間がかかりません。ビジネスフォンのように電話の工事も必要なく、IP-PBXのようにゲートウェイを用意する必要もありません」
IP-PBXの特長は豊富な機能があることと前述しましたが、もちろんクラウドPBXもビジネスフォンとしての十分な機能を備えています。留守番電話の応対メッセージ、着信した際のガイダンスなどにも対応しています。
「留守番電話の応対メッセージや着信のガイダンスを、よりオリジナリティの高いものにしたい場合には、オプションで対応が可能です。利用する端末の台数や、どのような機能が必要なのかなどを検討したうえで、クラウドPBXとIP-PBXのどちらを利用するかを判断してはいかがでしょうか」
さらに、クラウドPBXでは、セキュリティ面でのリスクが低くなることもメリットです。IP-PBXもセキュリティ面はしっかりしていますが、クラウドの場合は大手通信会社などのシステムを利用していますので、より強固な状態になっています。
ただ、クラウドPBXの場合、セキュリティを強固にする影響で、国際電話サービスを展開していないケースもあります。展開している場合も、オプション料金が必要な場合や、国際電話を使用するたびに設定変更が必要な場合がほとんどです。
以上のように、初期費用のコスト減や、多拠点展開の手軽さなど、ビジネスフォンからクラウドPBXへと移行するメリットにはさまざまなものがあります。
その一方で、クラウドPBXに対して最も寄せられる質問は、通話の音質に関することです。音質を確保するために、注意が必要な点はいくつかあります。ひとつはスマートフォンをWi-Fiに接続した状態での通話使用は、推奨されていないことです。Wi-Fiの場合、音質に影響が出てしまうからです。
スマートフォンであれば、通信会社が提供する電波だけを使った方が、安定した通話音質になります。その理由は、Wi-Fiの電波の特性にあるといいます。
「Wi-FiでYouTubeや動画配信サービスの動画を見ると、安定した通信状態で楽しむことができますよね。サイズの大きなデータをアップロードする、もしくはダウンロードする時に適しているのがWi-Fiです。
ただ、Wi-Fiは大きなデータをアップロードかダウンロードした後に、一旦通信が止まります。この繰り返しが続くのが、Wi-Fiの電波の特性です。このため、通話に使用した場合には電波が途絶えて、途中で切れてしまうことがあるのです。
クラウドPBXもIP-PBXも、通話にはインターネット回線を使います。通話で使うデータ量は少ないのですが、安定した通信環境が必要になります。Wi-Fiを切っておくことで、安定した通話ができるようになります」
通話に影響する要素は他にもあります。それは、スマートフォンにBluetoothで接続して使うイヤホンなどの機器です。通話にマイク付きのイヤホンを使いたい場合もあると思いますが、Bluetoothで接続している場合は、通話の音質が低下することがあります。
「Bluetoothの機器は、いろいろなものが存在していますが、どの製品が音質に影響して、どの製品が影響しないといったことはよくわかっていません。音質が気になる方は、Bluetooth製品は使わない方が無難だと思います」
また、スマートフォンなどの端末の性能にも、音質が左右されるといいます。
「端末は価格が安いほどスペックは下がりますし、機能的な制限も増えてきます。あまりにスペックの低い端末だと、音質への影響は出やすくなります」
IP電話なども含め、インターネット回線を利用した通話は、音質が悪いと思っている人も多いかもしれません。実際には、Wi-Fi環境を避ける、Bluetoothを使わない、端末も選ぶといった対策で、問題なく音質を確保することができます。
「Wi-Fiなどの仕組みを知らずに、クラウドPBXの通話は音質が悪いと言って、導入を避ける方もいらっしゃいます。しかし、仕組みや特性を知っていただくことによって、対応策があることもわかっていただけます。音質の問題は改善できるという前提で、検討していただければと思います」
クラウドPBXの導入を考えている企業の担当者の皆さんは、ある程度クラウドPBXのことを知ったうえで、ホームページなどを見て検討されている場合が多いようです。
それでも、これまで触れてきたように、IP-PBXとの違いや、通話音質の問題など、聞いてみなければわからないことが多いのも事実です。その際におすすめするのは、まずはサービス事業者に相談してみることです。
相談して、さまざまな質問をすることで、自社に合ったサービスがわかってきます。実際にどのような質問が多いのか聞いてみました。
「規模の大きな企業の場合は、転送の順番を決められるかどうかといったことや、音声ガイダンスのバリエーションについて質問されることが多いですね。
他には、やはりセキュリティ面についての質問が多いです。インターネット上のサービスですので、100%問題が起きないというのはありえませんが、起こりえる問題にはどのようなものがあって、それに対してどのような対策をとっているかについて説明させていただいています」
こうした質問に対して丁寧に回答してもらえるかどうかは、クラウドPBXの事業者を選ぶうえで非常に重要になります。
というのも、サービスは契約して終わりではなく、使っているうちに必ず疑問点が出てきます。前述した音質について相談しても、事業者によっては「インターネットを使った通話の音質はそういうものですから」とだけしか言われない場合もあります。
しかし、トラブルには必ず原因があります。原因を明らかにして、対応策をとれば、快適に使用できるのです。クラウドPBXの仕組みや、使う上での疑問について相談がしやすく、丁寧に説明してもらえる事業者を選びましょう。
では、事業者をどのように見分ければいいのでしょうか。方法のひとつは、デモ機を使って体験できるかどうかだといいます。
「こんなはずじゃなかったと後悔しないためには、デモ機で事前に体験できる業者を選ぶことがポイントです。デモ機を貸し出している事業者であれば、質問にも丁寧に答えるでしょう。
また、事業者選びの観点だけに限らず、導入する前に体験するのはおすすめです。自宅や外出先などで実際に使うことで、クラウドPBXの快適さも実感できますし、出てきた疑問点を事前に解決することで、導入後はストレスなく使うことができます。
『クラウドPBX SPICA』でも、無料で体験できるお試しキャンペーンを実施しています。まずはぜひ体験してみてください」
どの事業者のクラウドPBXを導入するのかを悩んだとき、決め手になるのはやはりコスト面ではないでしょうか。コストを考える際には、月額の利用料だけでなく、ビジネスフォンと比べたときの電話機や工事の費用なども含めて総合的に比較することが必要です。
これまで触れてきたように、設備にかかわる費用がほとんどかからないのは大きなメリットです。ビジネスフォンの場合は新規にオフィスを開設するときだけでなく、撤去するときにも電話回線の工事費用はかかってきます。クラウドPBXの場合はこうした費用と手間はかかりません。
その一方で、ランニングコストがかかることについては理解が必要です。利用する端末台数によって料金は変わってきます。
ランニングコストだけ見れば、「通信にかかる料金はビジネスフォンの場合とそんなに変わらない」と思われるケースもあるかもしれません。その際には設備投資などの費用と併せて、現状と比較してみてください。
事業の規模や社員数によって、ランニングコストは変わります。利用する端末の数に合わせて最適なプランが用意されている場合もあります。十分に比較、検討することで、導入によるコストメリットが見えてくるのではないでしょうか。
クラウドPBXの導入を検討する際に生じる、8つの代表的な質問について聞いてきました。特に関心が高いコストについては、短期的な視点で検討するのではなく、長期的な視点で考えることも重要です。
ハードを必要としないクラウドPBXは、コスト以外にも長期的な視点に立つことで見えてくるメリットもあります。そのひとつが、引っ越しの際の煩わしさから解放されることです。
「自社のビルを持たない限り、オフィスを数年おきに引っ越すことも珍しくありません。成長中の企業であれば、オフィスの拡大や新たな拠点の開設なども頻繁に起きるでしょう。
その際、クラウドPBXであれば、電話に関する移転手続きはほぼ不要になります。短期的なコストダウンだけでなく、長期的なメリットを考えてクラウドPBXの導入を検討してみてください」
また、クラウドPBXは、アプリが使いやすいかどうかも重要です。「クラウドPBX SPICA」は、直感的に使えるUIを採用し、操作性の良さが評価されています。
クラウドPBXを利用する際の条件や必要な機能などを、あらかじめ整理する。事前の体験によって、アプリの快適性や音質などを確認する。その上で、クラウドPBXを導入するかどうか、さらにはどの事業者が提供するサービスを選ぶのかを検討してみてください。